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身長とBMI:ヨーロッパ集団における身長およびボディマス指数の遺伝学的な多様性
Nature Genetics 47, 11 doi: 10.1038/ng.3401
複雑形質の平均値に各国間で差があることはよくあることだが、この差の原因は明らかになっていない。本論文では、ヨーロッパ14か国に住む9,416人の身長およびボディマス指数(BMI)においては、多数の異なる座位が集団遺伝学的な差に貢献していることを見つけた。25万人以上の関連検出用データと、17,500の同胞対から求めたバイアス補正済みの効果量推定値を用いて、身長およびBMIに獲得されたそれぞれの相加的な遺伝分散、すなわち24%〔95%信頼限界(CI)=9%, 41%〕と8%(95%CI=4%, 16%)が、集団遺伝学的な差に反映しているという推定値が得られた。集団遺伝的な相違度は、ヌルモデルでの予測とは統計学的に有意に異なっていた(身長の場合、P <3.94×10−8、BMIの場合、P <5.95×10−4)。さらに、高身長で痩身である形質に対して集団間の遺伝学的相関が見つかった(r=−0.80、95% CI=−0.95、−0.60)。このことは、高身長および痩身という2つの表現型が相関して選択されている事実と矛盾しなかった。また、集団間に認められる身長の差異は予測された遺伝学的平均値を反映していた(r=0.51、P <0.001)が、ヨーロッパを通した環境要因の違いに基づくBMIの遺伝学的な差は認められなかった(P <0.58)。