Analysis
遺伝率:ゲノムワイド関連解析での要約統計量を用いた機能アノテーションからの遺伝率の分配
Nature Genetics 47, 11 doi: 10.1038/ng.3404
最近の研究でゲノム配列中のいくつかの機能カテゴリーが複雑疾患の遺伝率に異なった寄与をすることが示されている。今回我々は、17の複雑疾患および形質のゲノムワイド関連解析(GWAS)に基づき(平均サンプルサイズ73,599)、組織特異的な配列をはじめとする広範囲の機能的配列を解析してそのポリジーン(多遺伝子)的な遺伝率への寄与を見積もった。この解析を可能にするため、新しい手法を導入した。それは層別連鎖不平衡スコア回帰という手法で、連鎖マーカーを考慮に入れつつ、GWAS要約統計量から遺伝率を分配する。この新たな手法は、非常に大きいサンプルサイズのものでもコンピューター計算負荷が小さく、ゲノムワイドな情報を活用できる。本研究からさまざまな形質で保存された領域における高い遺伝率や、FANTOM5エンハンサーでの大規模な免疫疾患特異的な高い遺伝率、そして中枢神経系をはじめとする組織特異的に見られるボディマス指数(BMI)、初潮年齢、教育の獲得、喫煙行動の高い遺伝率が見いだされた。