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血圧:複数祖先集団のゲノムワイド関連解析から血圧を左右する12の遺伝的座位が同定され、DNAメチル化の役割が示唆された

Nature Genetics 47, 11 doi: 10.1038/ng.3405

複数の祖先集団、すなわち東アジア系、ヨーロッパ系、南アジア系の集団、最大320,251人を対象に、血圧に関わる形質についてのゲノムワイド関連解析および再現解析を行った。その結果、12の新たな座位に、血圧との関連を示すバリアントを見つけた(P=3.9×10−11〜5.0×10−21)。血圧との関連を最も強く示すセンチネル(見張りの意)SNPは多くの場合、複数の近傍CpG部位におけるDNAメチル化との関連を示した。このことは、同定された座位の一部ではDNAメチル化が、塩基配列に生じた変異を血圧と関連づける、調節経路の役割を担っている可能性を示唆するものである。この12領域のセンチネルSNPからは、変異が生じた遺伝子が血管平滑筋機能(IGFBP3KCNK3PDE3APRDM6)や腎機能(ARHGAP24OSR1SLC22A7TBX2)に関与する遺伝子であることが判明した。新規および既存のバリアントの存在から、左心室肥大、循環血中N末端プロBNP濃度の上昇、心血管系疾患による死亡率や総死亡率の増大が予測できた(P=0.04〜8.6×10−6)。今回の研究結果は、血圧調節においてDNAメチル化が役割を果たすことを示す新たな証拠となるものである。

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