Analysis

複雑形質:ヒトの疾患と形質の間の遺伝的相関アトラス

Nature Genetics 47, 11 doi: 10.1038/ng.3406

複雑な形質と疾患の間の遺伝的相関を明らかにすることにより、病因を理解するための有益な手掛かりが得られ、また、考えられる因果関係の優先順位付けに役立てることができる。現行の方法でゲノムワイド関連解析(GWAS)のデータから遺伝的相関を見積もるのが非常に困難であるのは、個人レベルでの遺伝子型データが利用可能ではないことや、メタ解析間では広くサンプルが重複していることが理由として挙げられる。我々は、これらの難題を回避して、遺伝的相関を見積もるための技術〔形質間LDスコア回帰(cross-trait LD Score regression)〕を紹介する。この方法はGWASの要約統計量のみが必要であるので、サンプルの重複によるバイアスがない。この方法を用いて、24形質間の276の遺伝的相関を見積もった。得られた結果から、例えば神経性無食欲症と統合失調症、食欲不振と肥満、学歴・知能といくつかの疾患の間に遺伝的相関があることが分かった。現在、神経性無食欲症と有意な関連を示すSNPは見つかっておらず、また学歴・知能との有意な関連を示すSNPは3個しか見つかっていないが、ゲノムワイドな解析による検出力の重要性が浮き彫りになった。

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