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白血病:若年性骨髄単球性白血病ではRAS経路とPRC2ネットワークの構成要素が変異している
Nature Genetics 47, 11 doi: 10.1038/ng.3420
若年性骨髄単球性白血病(JMML)は、生殖細胞系列あるいは体細胞のRAS活性化変異によって幼児期に発症する、まれであるが重症の骨髄異形成性および骨髄増殖性の新生物である。大規模なJMMLコホートの遺伝学的プロファイリング(118症例)および全エキソーム塩基配列決定(30症例)を行った結果、56症例(47%)でさらなる遺伝的異常を同定した。体細胞での異常はまれで(0.38事象/Mb/症例)、散発性JMML症例(49症例/78症例、63%)か、神経繊維腫症1型(NF1)関連JMML症例(8症例/8症例、100%)かに限られていた。RAS経路を標的とする複数同時の遺伝的変化が78症例中13症例(17%)に同定されたことから、RAS経路の変異は相互排他的であるとの見方が反証され、また、JMMLで活性化される新しい経路として、RAC2変異を介してホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)およびmTORC2複合体が関与していることが明らかになった。そのうえ、この研究から、JMML症例では、RAS経路およびPRC2経路の変化とともに、ヒストンH3のリシン27のメチル化/アセチル化の状態を切り換えるPRC2の欠損があること(26症例/78症例、散発性JMML症例の33%)が明らかになった。また、JMMLの転帰と変異プロファイルの関連から、RAS経路活性化の遺伝子量依存的な効果が示唆され、迅速に急性骨髄性白血病に進行する非常に悪性のJMMLが鑑別された。