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全身性エリテマトーデス:遺伝学的関連解析から全身性エリテマトーデスの発症機序に自然免疫および適応免疫の遺伝子の調節異常が関与していることが示される
Nature Genetics 47, 12 doi: 10.1038/ng.3434
全身性エリテマトーデス(SLE)は遺伝学的に複雑な自己免疫疾患で、核抗原や細胞表面抗原に対する免疫寛容の喪失を特徴とする。これまでのゲノムワイド関連研究(GWAS)は、中程度のサンプルサイズで、その範囲や信頼性が十分ではなかった。本研究は、ヨーロッパ系のSLE症例7,219例と対照15,991例を含んでおり、新しいGWASと、既報告GWASのメタ解析、追試から構成されている。我々は10個の新しい関連座位を含む、43個の感受性座位の位置を決定した。ゲノムカバー率の高さも役立ち、インピューテーションによって、8つの遺伝子での関連を支持するミスセンスバリアントの証拠が得られた。原因と考えられる他の遺伝子は、ex vivoのさまざまな免疫細胞において、関連対立遺伝子のシス作用性eQTL効果を調べることによって明らかにすることができた。SLE感受性遺伝子の中には転写因子が多く含まれている(n=16)ことが分かった。この知見は、自然免疫応答と適応免疫応答に関与する多数の細胞種において異常な調節を受けた遺伝子発現ネットワークがSLE発症のリスクに寄与するという考えを裏付けるものである。