Article

パイナップルゲノム:パイナップルゲノムとCAM光合成の進化

Nature Genetics 47, 12 doi: 10.1038/ng.3435

パイナップル〔Ananas comosus(L.) Merr.〕は、経済的に非常に有用な作物であり、ベンケイソウ型有機酸代謝(CAM)という水利用効率の高い光合成による炭素同化経路を備え、トロピカルフルーツとしては2番目に重要な果実である。パイナップル品種のF153、MD2、および野生のパイナップル近縁種(Ananas bracteatus accession CB5)のゲノム塩基配列決定を行った。これらのパイナップルゲノムは、配列決定されたイネ目植物ゲノムよりも、古代の全ゲノム重複事象が1回少なく、ρ全ゲノム重複事象以前から存在する7本の染色体に基づく保存された核型である。このようなパイナップル系統はC3型光合成からCAMに移行し、CAM関連遺伝子は光合成組織で日周的な発現パターンを示す。CAM経路の遺伝子には概日周期の時計遺伝子による制御を受けるシス調節配列が豊富に存在するので、これはCAMと概日時計制御を結びつけるシス調節の初めての報告である。パイナップルのCAM光合成は、C3植物が持つ経路を再構成することにより進化した。これは既存の遺伝子が調節性の新機能を獲得したことによって進化したものであり、全ゲノム重複や縦列遺伝子重複によって獲得した新機能によるものではない。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度