Analysis
遺伝子量:遺伝子発現解析からがんにおけるグローバルな遺伝子量感受性が明らかになる
Nature Genetics 47, 2 doi: 10.1038/ng.3173
多くのがんに関連する体細胞コピー数変化(SCNA)が知られている。これらの変化が下流に及ぼす分子的な影響を明らかにすることは、現代の課題の1つである。いくつかのSCNAが遺伝子発現レベルを変化させることが知られているが、各個別のSCNAが遺伝子発現に影響を及ぼすのかどうかは分かっていない。我々は、7万7840個の試料の発現プロファイルを再解析した結果、よく知られた生物学を説明することができる「転写構成要素(transcriptional component:TC)」の限られたセットにより、遺伝子発現の多様性の大部分が説明できること、また、これにより遺伝子の生物学的機能を予測できることを見いだした。このようなTCにより発現プロファイルを修正する方法、「機能ゲノムmRNA(functional genomic mRNA:FGM)」プロファイリングを用いると、生理的な発現では説明できない発現レベルはコピー数と強く相関することが分かった。DNAコピー数は、豊富な発現が見られる全ヒト遺伝子の99%の発現レベルと正の相関があったことから、遺伝子の発現はグローバルな遺伝子量感受性であることが示される。この方法を1万6172例の患者由来の腫瘍試料に適用することで、多くの座位がコピー数の異常を示すことを追試し、ゲノム不安定性を示すがんにおいて異常が頻発する遺伝子を明らかにした。