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転写産物アイソフォーム:ヒト全血の転写産物アイソフォーム産生を制御する一般的な遺伝的バリアントの同定

Nature Genetics 47, 4 doi: 10.1038/ng.3220

転写産物のスプライシングに関与する遺伝的多様性を解明することは、一般的な疾患の発症分子機序を解明する上で極めて重要である。しかしながら、現行のスプライシング量的形質座位(sQTL)解析では、サンプル数が少なく、得られる知見が限られていた。このたび、フラミンガム心疾患研究(Framingham Heart Study)の参加者5,257名の全血試料を用いて、ゲノムワイドなスクリーニングを行い、mRNAのスプライシングを調節する可能性のあるSNPを同定した。その結果、単一遺伝子2,650個に含まれる572,333個のcis sQTLを同定した。そして、これらのsQTLと関連を示す遺伝子の多く(40%)は、選択的スプライシングを受けることが分かった。そして、米国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)のゲノムワイド関連解析カタログを調べたところ、GWASによって形質との関連が判明していた8,845個のSNPが528個のsQTLに存在することが分かった。特に、GWASから特定されたSNPのうち395個(4.5%)が、遺伝子レベルの発現に影響を及ぼすcis 発現形質座位(eQTL)ではなく、cis sQTLであることが判明した。この知見は、sQTL解析によって、GWASの成果から新たな作用機序の発見の余地があることを示唆するものである。今回の研究成果は、一般的疾患の転写産物アイソフォームの制御に関わるSNPの機能解析をする上で、sQTLに関する有益な情報リソースとなる。

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