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発現調節:遺伝的に遠く離れたマウス間の交配における対立遺伝子特異的発現解析により、広範な対立遺伝子の不均衡が同定された
Nature Genetics 47, 4 doi: 10.1038/ng.3222
ヒトの複雑な形質は調節DNAの多様性による影響を受けるが、その機序は十分には解明されていない。調節エレメントはヒトとマウスで保存されていることから、マウスにおいてシス調節多様性のアノテーションを完璧にすることは、これらの機序をさらに解明する上で役立つ。3種類のダイアレル交配(総当たり交配)を用いて、マウスの多臓器にわたる遺伝子発現の詳細について報告する。マウスの遺伝子の80%を超えるものにシス調節の多様性を認めた。これらの多様性の効果は、複雑な形質に影響を与え、通常はヒトのオーソログに拡大できた。さらに、少なくとも1,000個に1個のSNPは、シス調節効果を持つと推定された。また、親由来効果には2つのタイプがあり、1つは古典的なインプリンティングであり、もう1つは新たな効果で、父方対立遺伝子を選んで発現するというゲノム全体にわたる不均衡である。広汎に及ぶ調節多様性は、ヒトと同じようにマウスにおいても、複雑な遺伝的素因に影響を与え、ほ乳類における発現の遺伝的調節を理解する上で新しい情報を提供し得るものである。