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結核:結核に対する感受性は樹状細胞遊走の調節因子をコードするASAP1のバリアントと関連している
Nature Genetics 47, 5 doi: 10.1038/ng.3248
ヒトの遺伝的要因が結核(TB)のかかりやすさに関係している。今回、肺結核患者5,530人と対照健常者5,607人に対して、760万個の遺伝的バリアントを調べた。この対象にさらなるコホートを加えて解析した結果(TB患者と対照群を合わせて15,087人)、染色体の8q24領域にあるASAP1遺伝子のイントロンに存在する複数のバリアントがTBと関連することを見いだした(rs4733781、P=2.6 × 10−11、およびrs10956514、P=1.0 × 10−10)。ASAP1は樹状細胞(DC)において高発現しているが、結核菌Mycobacterium tuberculosis感染によって、その発現は低減することが観察された。そして、rs10956514がASAP1の発現低下の程度に関連していた。ASAP1はアクチンや膜のリモデリングに関わり、ポドソームの機能に関連があるとされている。DCにおいてASAP1を欠損させたところ、細胞外マトリクスの破壊および細胞遊走が損なわれていることが判明した。従って、結核菌感染DCにおいて、ASAP1発現の激減が遺伝的要因によりもたらされ、DCの遊走能が減弱すると考えられる。このことから、TBの発症しやすさについての有望な機序が示唆された。