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小児白血病:高度の高二倍体を持つ小児急性リンパ芽球性白血病のゲノムの全体像
Nature Genetics 47, 6 doi: 10.1038/ng.3301
高度の高二倍体(51〜67本の染色体)を示す急性リンパ芽球性白血病(ALL)は小児で最も多い悪性腫瘍の1つで、小児のB細胞前駆細胞性ALL全症例の30%を占めている。その遺伝的な特徴は、X染色体、第4、6、10、14、17、18、21染色体の非ランダムな増加で、個別のトリソミーあるいはテトラソミーが75%以上の症例で見られるが、その病因は十分理解されていない。我々はこの腫瘍のゲノムの特徴をさらに解明するため、診断時、あるいは寛解期にある51症例の高度の高二倍体ALL試料について、全ゲノム配列決定(n=16)と全エクソーム配列決定(n=39)の一方あるいは両方を行った。大部分の症例ではRTK-RAS経路あるいはヒストン修飾因子の関与を示していた。融合遺伝子形成をきたすような頻発性の組換えはなく、トリソミーを起こした染色体上の変異の解析では、染色体増加が初期のイベントであり、このよくある小児悪性腫瘍の主たるドライバー事象は高度の高二倍体パターンそのものであるという説を補強していた。