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バセドウ病:HLAインピューテーション法による集団特異的な参照パネルの構築と、その適用による日本人のバセドウ病リスクの同定
Nature Genetics 47, 7 doi: 10.1038/ng.3310
主要組織適合複合体(MHC)領域のヒト白血球抗原(HLA)バリアントの関連リスクを詳細にマッピングするために、日本人集団に特異的な参照パネルを構築した(n=908)。情報量エントロピーの正規化に基づく連鎖不平衡(LD)評価指標(ε)および高次元データを圧縮する可視化ツールを用いて、複数の祖先集団間で、HLAバリアントのLDやハプロタイプ構造の比較を行った。我々の日本人参照パネルは、ヨーロッパ人集団や他の東アジア人集団よりも、HLA遺伝子間の強力なLDを示し、ある1つの長いHLAハプロタイプが日本人集団特異的に高頻度で存在することを特徴とすることを明らかにした。日本人集団におけるバセドウ病のゲノムワイド関連研究(GWAS)データ(n=9,003)にHLAインピューテーション法を適用して、クラスIおよびクラスIIの複数のHLA遺伝子のアミノ酸多型が、それぞれ独立にバセドウ病の発症リスクに寄与していることを明らかにした(HLA-DPB1、HLA-A、HLA-B、HLA-DRB1。P < 2.3 × 10−6)。また、最も影響力が強い多型は、HLA-DPB1に見られた(P=1.6 × 10−42)。我々の研究は、集団特異的なHLA参照パネルの有用性を示している。