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miRNA:miR-17~92の対立遺伝子についてのさまざまな変異マウスを作出し、ポリシストロン性マイクロRNA間における機能特化や協調性を明らかにする
Nature Genetics 47, 7 doi: 10.1038/ng.3321
複数のシストロンを含む(ポリシストロン性)マイクロRNA(miRNA)クラスターは、脊椎動物ゲノムによく見られる特徴である。1つの転写単位に由来する異なるシードファミリー(標的配列が同じmiRNA)に属するmiRNAが協調的に発現することから、機能上の連携が示唆されるが、この仮説は実験的に検証されてはいない。今回、miR-17~92クラスターの標的miRNAを特異的に欠失させた各種対立遺伝子を保持している遺伝子改変マウスについて特性解析を行った。その結果、このクラスターの構成miRNA同士が、機能的に連携していると同時に特化していることが明らかになった。また、これまで報告されていなかった、脊椎動物の軸パターン形成に対するmiR-17シードファミリーの制御機能を同定した。さらに、2種類のヒトがんモデルにおいて、Myc活性化に伴う腫瘍形成がmiR-19の欠損によって特異的に損なわれることが分かった。表現型解析および遺伝子発現解析を合わせて行うと、ポリシストロン性のクラスター構成miRNAがin vivo条件下で遺伝子発現に作用する機序について、ゲノムワイドな知見を得ることができた。本論文で報告した変異型マウスおよび配列データセットによって、重要なmiRNAクラスターの持つ複雑な生物学的機能の解明が加速されると期待できる。