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1型糖尿病:HLA-DQおよびHLA-DR分子の3つのアミノ酸部位の相加効果と交互作用効果が1型糖尿病のリスクをもたらす
Nature Genetics 47, 8 doi: 10.1038/ng.3353
ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子の多様性によって、1型糖尿病(T1D)の遺伝的リスクの半分を説明できる。このリスクの大部分は、HLA-DRやHLA-DQ分子のアミノ酸の変化が仲介しているが、大規模な連鎖不平衡があるため、個別の効果の存在部位を求めるのが複雑になっている。本論文では、このような効果を持つシグナルを、18,832の症例対照試料を用いて、HLA-DQとHLA-DRの3つのアミノ酸部位に位置づけたので報告する。HLA-DQβ1の57番目のアミノ酸(既知、P=1 × 10−1,355)のみにより、全表現型分散の15.2%が説明できた。HLA-DRβ1の13番目のアミノ酸(P=1 × 10−721)と71番目のアミノ酸(P=1 × 10−95)でのそれぞれ独立した効果により、説明される分散の割合は26.9%に増加した。この3つのアミノ酸部位を合わせると、HLA-DRB1–HLA-DQA1–HLA-DQB1座位の表現型分散の90%が説明できた。さらに、一般的なHLA-DRB1–HLA-DQA1–HLA-DQB1のハプロタイプ21組のうち11組に有意な相互作用が観察された(P=1.6 × 10−64)。HLA-DRβ1の13番目のアミノ酸と71番目のアミノ酸は、抗原結合溝のP4ポケットに関与しているので、HLA-DQ P9ポケットに加えて、T1Dのリスクに重要な別のタンパク質構造が示された。