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炎症性腸疾患:関連解析によって38の炎症性腸疾患感受性座位を同定し、複数の集団に共通する遺伝的リスクを明らかにした

Nature Genetics 47, 9 doi: 10.1038/ng.3359

潰瘍性大腸炎およびクローン病は炎症性腸疾患(IBD)の2つの主な病型である。本論文では、複数の祖先集団を対象にした関連解析について報告する。今回、86,640例から成るヨーロッパ系集団の大規模コホートを対象にしたゲノムワイド遺伝子型データやイムノチップからの遺伝子型データと、9,846例の東アジア系、インド系、イラン系集団のイムノチップデータを利用した。その結果、新たに38の座位をIBD発症リスクに関連付けた。IBD発症リスク座位の大部分では、効果の大きさと向きがヨーロッパ系と非ヨーロッパ系のコホートで一致していた。それにもかかわらず、いくつかの既存のリスク座位において遺伝的構成に違いが認められた。この違いは、対立遺伝子頻度(NOD2の場合)か効果量における差異(TNFSF15ATG16L1の場合)、もしくはこれら2つの要素が組み合わされること(IL23RIRGMの場合)に起因していた。今回の研究成果から、IBDの原因についての生物学的な手掛かりが得られ、複数祖先に対する関連解析を行うことが、複雑疾患の関連座位の同定や多様な集団の遺伝的構成の解明に有用であることが明らかになった。

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