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メラノーマ:日光暴露によるメラノーマのエキソーム塩基配列解読から、頻発変異をNF1およびRASopathy(Ras/MAPK症候群)遺伝子に同定
Nature Genetics 47, 9 doi: 10.1038/ng.3361
メラノーマの213試料を全エキソーム塩基配列解読(WES)したので報告する。その結果から、RASの負の調節因子をコードするNF1が、BRAFおよびNRASに続く、最も頻繁に変異が生じる第3の遺伝子であることが明らかになった。NF1の不活性型変異は、BRAFとRASの野生型が発現しているメラノーマの46%に存在し、高齢患者で見つかった。また、NF1以外のRASopathy(Ras/MAPK症候群)遺伝子と特徴的な共変異パターンを示し、特にRASA2遺伝子との共変異でそれが顕著だった。機能解析から、NF1の量が低下することで、全てではないが大部分のメラノーマにおいて、RAS活性化が亢進されることが示された。さらに、NF1が失われるとMEKやERKの阻害剤に対して感受性を示すとは一概に言えないことが分かった。リン酸化型MEK量の増加として観察されるリバウンド経路は、阻害剤感受性および耐性を示す両方の細胞内で起こっていた。上記の結果から、NF1は、メラノーマでは失われていた重要ながん抑制因子であること、そして、NF1変異と同時に発生するRASopathy遺伝子変異は、メラノーマ発症におけるNF1の役割を亢進している可能性があることを結論づけた。