Technical Report
トランスクリプトーム:参照となるトランスクリプトームデータを用いて形質をマッピングする遺伝子ベースの関連解析手法
Nature Genetics 47, 9 doi: 10.1038/ng.3367
ゲノムワイド関連研究(GWAS)は、複雑な形質に強固な関連を示すバリアントを何千も同定してきた。しかしながら、それらの関連の原因となる生物学的な機構は一般的によくは理解されていない。我々は遺伝子ベースの関連解析手法PrediXcanを提案する。PrediXcanは、遺伝的なバリアントが表現型に影響を及ぼす分子メカニズムを直接的に検定する。すなわち、個人の遺伝的なプロファイルにより定義される遺伝子発現決定要因の構成要素を見積もる。そして、表現型の原因として関与する遺伝子を同定するために、「インピュテーション(帰属させる)」の方法を利用して、遺伝子発現を表現型に関連づける。遺伝的に制御される遺伝子発現は、参照トランスクリプトームデータセットにより訓練された全ゲノムの組織依存的な予測モデルを用いて見積もられる。PrediXcanを用いれば、遺伝子ベースのアプローチにより多重検定の負荷を減少させたり、フォローアップ実験のデザインに役立てたりできるだろう。今回の結果は、PrediXcanが疾患形質に関連する既知および新規の遺伝子を検出でき、それらの関連のメカニズムを探る手掛かりを提供することを示している。