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トウモロコシ:ZmVPP1の遺伝的多様性はトウモロコシの実生の乾燥耐性に寄与する
Nature Genetics 48, 10 doi: 10.1038/ng.3636
トウモロコシの生産は世界中で干ばつの脅威にさらされている。トウモロコシの乾燥耐性に関わる遺伝的要素を明らかにすることは極めて重要である。本論文では、実生期のトウモロコシの乾燥耐性に関するゲノムワイド関連解析(GWAS)の結果を示す。このGWASにより83個の遺伝的バリアントを発見し、それにより候補遺伝子42個が得られた。最大のGWASシグナルから、液胞型のH+ピロホスファターゼをコードするZmVPP1に見られる自然の多様性がその形質に最も大きく寄与していることが明らかになった。さらに分析すると、MYBシスエレメントを3個含むプロモーター中の366 bpの挿入が、乾燥耐性遺伝子型におけるZmVPP1の乾燥誘導性発現を行わせていることが分かった。ZmVPP1が高発現する遺伝子導入トウモロコシは、優れた乾燥耐性を示すが、それは高い光合成効率および根の発達のためである可能性が大きい。総合すると、この情報は、トウモロコシの乾燥耐性における自然の多様性に関する重要な遺伝的洞察をもたらす。特定された座位または遺伝子は、トウモロコシの形質改良のための遺伝子工学および選択の両方で直接的な標的とすることができる。