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乳がん:トリプルネガティブ乳がんでの染色体コピー数の断続的進化とクローンの停滞
Nature Genetics 48, 10 doi: 10.1038/ng.3641
染色体異数性は乳がんの特徴である。しかし、腫瘍形成の過程でこのような複雑なゲノムの再構成がどのように起こるかについての知識は限定的である。本研究では、トリプルネガティブ乳がんの患者でのコピー数の進化を研究する方法として、単一核の高度多重化塩基配列決定法を開発した。12人の患者腫瘍から得た1,000個の単一細胞について配列決定を行い、それぞれの腫瘍において、共通の進化的系譜をもつ1〜3の主要クローナル亜集団を同定した。また各腫瘍において、非クローナル細胞のまれな亜集団も同定され、それらを転移性、偽二倍体、クロマゼミック(超異数性)に分類した。系統解析および数学モデル化による解析では、コピー数変化の長期間の漸次的蓄積でこれらのデータを説明するのは難しそうだと分かった。一方、我々のデータは、大部分のコピー数異常は腫瘍発生の最初期に獲得されたものであり、爆発的発生が短期間に断続的に起こり、その後に、安定したクローナル増殖が続いて、腫瘍塊が形成されたと説明することができ、すなわち、漸次的な進化説に異議を唱えるものである。