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硬骨魚類:免疫系の進化が硬骨魚類における種分化速度に影響する

Nature Genetics 48, 10 doi: 10.1038/ng.3645

硬骨魚類は、脊椎動物の中で種が最も豊富なクレードを構成しており、多彩な免疫防御戦略をはじめ、遺伝的にも表現型的にも大きな多様性を有している。硬骨魚類の持つ、並外れて変わった戦略の1つについて、そのゲノム的な基礎がタイセイヨウダラで明らかになっている。主要組織適合遺伝子複合体(MHC)IIの機能の喪失が、MHC I遺伝子の著しい拡張と同時に起こっていることが示されているのである。今回、66の硬骨魚類種について、低深度のゲノム塩基配列決定(9〜39倍)であるが、アセンブルおよび比較解析を行った。その結果、全てのタラ目の系統でMHC IIが欠落していることが分かった。つまり、共通の祖先で一度に失われたということである。一方、MHC I遺伝子の拡大は複数回にわたり、このクレードの内でも外でも生じていたことが分かった。さらに、形質依存の多様化モデルを用いて大きなMHC Iコピー数と高い種分化速度の間の関連を同定した。我々の結果は適応免疫系の可塑性に関する理解を深めるものである。また動物の多様化における免疫関連遺伝子の重要な役割を示唆するものである。

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