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腸内微生物:腸内マイクロバイオームに及ぼす宿主の遺伝要因の影響
Nature Genetics 48, 11 doi: 10.1038/ng.3663
腸内マイクロバイオームは、遺伝要因をはじめとするさまざまな因子によって影響される。本研究では、被験者1514例のメタゲノム配列決定に基づき、微生物種、経路、遺伝子オントロジー分類に対する宿主の遺伝要因の影響を評価した。ゲノムワイド解析により、9座位と微生物分類との関連、ならびに33座位と微生物経路および遺伝子オントロジー用語との関連が、P < 5×10−8で同定された。また、複雑疾患、自然免疫および適応免疫、または食物選好性に関与する領域に対するターゲット解析では、32座位がP < 5×10−6という示唆レベルで見つかった。C型レクチン分子である2p13.3のCLEC4F–CD207および12p13のCLEC4A–FAM90A1がゲノムワイドに有意であったのをはじめ、今回報告した関連の多くは新規のものである。また、LCTの機能的SNPがBifidobacterium属と関連することが明らかになり(P=3.45×10−8)、Bifidobacteriumの存在量の制御に遺伝子と食餌との相互作用が役割を持つ証拠が得られた。今回の結果は、ヒトの健康に関する洞察を深めるためには宿主と微生物との相互作用の理解が重要であることを示している。