Analysis
心血管代謝:高密度遺伝子型推定マップを用いた心血管代謝リスクに関連する座位の発見と改善
Nature Genetics 48, 11 doi: 10.1038/ng.3668
大規模な全ゲノム配列決定データセットは、ヒトの形質の基盤を作る遺伝的バリエーションを同定する新たな機会を提供してくれる。今回我々は、UK10Kプロジェクトおよび1000人ゲノムプロジェクトから得た全ゲノム配列決定データを用いて、35,981人のヨーロッパ系被験者に対して遺伝子型推定を行った。その後、心血管代謝および血液に関する20の量的形質について関連解析を行った。本研究では、血小板数(PLT)、赤血球指数(MCHとMCV)、HDLコレステロールに関する17の新たな関連について報告する。この関連には、6つの希少〔マイナー対立遺伝子頻度(MAF) < 1%〕もしくは低頻度(1% < MAF < 5%)のバリアントが含まれている。この20の形質に関連する既知および新規の関連233について精細マッピング解析を行い、59座位についての関連を、20以下の少数からなる信頼性の高いバリアント群に絞り込むことができた。また、予測調節機能領域内への形質エンリッチメントについても報告する。これらの知見は心血管代謝および血液疾患のリスクファクターの対立遺伝子構成に対する理解を深め、また、新規の生物学的標的の同定のさらなる手掛かりとなるものである。