Analysis
調節配列:クロマチン調節回路内の遺伝学的バリアント間の物理的相互作用の解析から疾患リスクをモデル化する
Nature Genetics 48, 11 doi: 10.1038/ng.3674
疾患感受性に関連するSNPは、エンハンサークラスター、つまりスーパーエンハンサーに存在することが多い。エンハンサークラスターを構成する要素は、協調して標的遺伝子を調節し、また、ゲノムワイド関連研究(GWAS)で同定されたリスクSNPを含む連鎖不平衡(LD)ブロック内にとどまらないことも多い。我々は、GWASリスクSNPと弱い連鎖不平衡にあるSNPを「外部バリアント」と定義し、これらが標的遺伝子の調節回路の一部として、リスクSNPと物理的に相互作用することを明らかにした。このような外部バリアントは、標的遺伝子の発現の多様性について説明する際に、GWAS関連SNPによる説明で不足する部分を補うものである。また、GWAS SNPに関連する疾患リスクは、外部バリアントの遺伝子型によって大きく左右される。これらの知見から総合的に見て、外部バリアントとGWAS SNPがクロマチンの三次元構造中で物理的に相互作用をして協調して働き、標的の転写レベルに影響を及ぼすとともに疾患リスクにも影響するとするモデルが考えられる。このモデルは複雑な形質の失われた遺伝率の起源にさらなる仮説を加えるものである。