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単一対立遺伝子性発現(aRME):単一細胞RNA–seqによるクローン体細胞での対立遺伝子性発現パターンの解析
Nature Genetics 48, 11 doi: 10.1038/ng.3678
細胞の不均一性は一方の親由来の対立遺伝子のみの発現から生じうる。しかし、体細胞における常染色体遺伝子の単一対立遺伝子性発現(aRME)がランダムに起こることが、細胞分裂時に受け継がれる(クローン性)のか、確率論的(動的)に起こるのか、あるいはそれらの割合について、特にin vivoでは議論になっている。本論文では、クローン性のマウス初代培養繊維芽細胞および新たに単離されたヒトCD8+ T細胞を用いて、対立遺伝子感受性の単一細胞RNA–seq法により、クローン性および動的な単一対立遺伝子性発現のパターンを明らかにした。動的なaRMEは細胞のトランスクリプトームのかなりの部分に影響を及ぼし、そのレベルは細胞の転写活性に依存していた。クローン性のaRMEは検出されたが、驚くほど少なく(遺伝子の1%未満)、主に最も弱く発現する遺伝子に影響を及ぼすものだったことは重要である。その結果、aRMEの圧倒的多数が個々の細胞内で一過性に生じており、従ってaRMEのパターンは、これまでに仮定されていたクローン性の関連細胞領域に限定されるのではなく、体細胞集団全体に主としてランダムに見られる。