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神経鞘腫:神経鞘腫のゲノム基盤

Nature Genetics 48, 11 doi: 10.1038/ng.3688

神経鞘腫(シュワン細胞腫)はよく見られる末梢神経鞘腫瘍で、消耗性の病的状態を引き起こすことがある。このたび以下に挙げる統合解析を行い、孤発性神経鞘腫における出現頻度の高いゲノム異常を検出した。125症例の試料に対してエキソーム解析、そして確認のために標的DNA配列決定を行ったところ、予期されたNF2の不活性化に加えて、症例間で頻発する変異がARID1AARID1BDDR1に存在することが明らかになった。RNA配列決定によって、125のうち12の症例(10%)で、インフレームのSH3PXD2A-HTRA1融合が頻発することを確認した。そしてゲノム構造解析によってこの融合が、染色体10qに存在する19 Mbの均衡型染色体逆位から生じたという機序を突き止めた。融合変異は性別による数的優位性を示し、神経鞘腫男性患者6人につき1人という割合で見つかった。さらにメチル化プロファイリングからは、解剖学的所在がはっきりと異なる、神経鞘腫の分子サブグループが判明した。SH3PXD2A-HTRA1融合の発現によって、リン酸化型ERKの増加、増殖の亢進、浸潤の拡大、in vivoでの腫瘍形成が生じた。融合変異が見られるシュワン細胞において、MEK-ERK経路の標的化が有効であったので、このタイプの腫瘍に対する可能性のある治療法を示唆している。

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