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腸内微生物:ゲノムワイド関連解析から腸内微生物相に影響を及ぼすビタミンD受容体の多様性と他の宿主因子が明らかになる
Nature Genetics 48, 11 doi: 10.1038/ng.3695
ヒトの腸内微生物相は健康や疾患の重要な決定要因で、最近の研究からその多様性を形成する多数の因子が明らかになっている。今回我々は、ドイツ北部の2つのコホートの合計1,812人を用いて、腸内微生物相のゲノムワイド関連研究(GWAS)を行った。食事や非遺伝学的パラメータを包括的に制御することで、全体的な微生物多様性および個々の微生物分類群と、VDR遺伝子(ビタミンD受容体をコードする)などの複数の遺伝的座位とが、ゲノムワイドな有意水準で関連することが明らかになった。対照マウスとVdr−/ −マウスの微生物相を比べると、かなりの違いが見られ、また、ヒトの胆汁酸や脂肪酸の血清測定値(VDRの既知のリガンドや下流の代謝産物など)に微生物相との相関が見られた。さらに、疾患感受性遺伝子やステロール代謝経路の構成要素の遺伝子などの複数の座位が、宿主と微生物との重要な交差点であることが、ゲノムワイドな有意水準(P < 5×10−8)の関連が得られたことにより明らかになった。非遺伝学的要因と遺伝学的要因はそれぞれ、腸内微生物相の多様性の約10%を説明し、個々の効果は相対的に小さいものである。