Analysis
エキソーム解析:単独症例エキソームから得たバリアントのゲノムワイドな有意性検定
Nature Genetics 48, 12 doi: 10.1038/ng.3697
遺伝疫学の標準的な技術では、単独症例から同定されたバリアントの重要性を見積もるのに適した方法論は存在しなかった。今回、単独のエキソームもしくはゲノムから機能異常の変異を同定するという、「n-of-1」問題といわれる課題を解くための統計的推定法を開発したので報告する。我々は500万を超えるメンデル疾患症例をシミュレーションにより作成して、我々の方法を適用し、原因遺伝子型を同定してみた。その結果、典型的なエキソームバックグラウンドにおける最も有害な部分が、疾患の遺伝子型の39%であることを同定した。我々はこの方法を未診断疾患プログラムから得たn-of-1の症例である129の家系に適用し、30の疾患遺伝子のうちの60%が、標準的な臨床精密検査により診断に有効な遺伝子であることを示した。我々の手法は、単一ゲノムへの適用に適したよく調整されたP値を提示することができ、n-of-1解析で複数のデータタイプを統合的に扱うことを可能とし、また、さらなる研究を続けることにより、連鎖解析やゲノムワイド関連解析のような広く用いられる疫学手法とすることができるようになると考える。