結核菌：結核菌（Mycobacterium tuberculosis）のlineage 4は全球的に分布する亜系統と地理的に限定された亜系統から構成される

万能型の種と特殊化型の種では生態学的なニッチにおける分布が異なっている。ヒトの偏性病原体については、ニッチの広がりはほとんど分かっていない。本論文では、ヒトの結核が地理的に最も拡大した原因である、結核菌（Mycobacterium tuberculosis）lineage 4の臨床分離株の全球的なコレクションを解析した。lineage 4は全球的に分布する亜系統と地理的に限定された亜系統から構成されることが分かり、このことから、万能型と特殊化型の間には差異があると考えられた。集団ゲノム解析から、ヒトT細胞エピトープの大部分が全亜系統に保存されているが、万能型ではエピトープの多様性を示す割合がより高いことが示された。我々のデータから、最も一般的な万能型亜系統がヨーロッパ起源であることがさらに裏付けられた。従って、lineage 4の全球的な分布の成功は、異なる亜系統が採用した戦略の違いとヒトの移動の影響を反映している。