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急性骨髄性白血病:CBF-急性骨髄性白血病のゲノムの全体像

Nature Genetics 48, 12 doi: 10.1038/ng.3709

急性骨髄性白血病(AML)は、CBF(core-binding factor)転写複合体が関与する再編成など、頻発する細胞遺伝学的異常を特徴とすることが多い不均一な白血病グループである。CBF-AMLのゲノムの全体像をよりよく理解するために、全ゲノムあるいは全エキソームの塩基配列決定により、小児サンプル(n=87)および成人サンプル(n=78)の両方を解析した。これらのサンプルには、RUNX1-RUNX1T1サブタイプ(n=85)とCBFB-MYH11サブタイプ(n=80)の症例が含まれている。Ras経路の既知の変異に加えて、CCND2に頻発する安定化変異が同定されたことから、CBF-AMLにはこれまでに分かっていない協調して働く経路があると考えられた。シグナル伝達の変化を別とすれば、RUNX1-RUNX1T1 AMLとCBFB-MYH11 AMLでは協調変異の範囲が著しく異なっていることが分かった。つまり、RUNX1-RUNX1T1サブタイプの症例では、DHX15およびZBTB7Aに頻発する変異が存在し、さらにASXL2やコヒーシン複合体などのエピジェネティックな調節因子にも変異が豊富に見られた。この詳細な解析から、CBF-AMLの発症機序や発生を理解する手掛かりが得られ、また、これらの関連するAMLサブタイプの協調変異の全体像には非常に大きな差異があることが浮き彫りになった。

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