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インフルエンザ:ヒトにおけるインフルエンザウイルスの多様性と伝達の定量化
Nature Genetics 48, 2 doi: 10.1038/ng.3479
A型インフルエンザウイルスは高い遺伝的多様性を示すことが特徴である。しかし、インフルエンザウイルスの進化について知られていることの多くは、疫学的な規模で採取された分離株の共通配列に由来しており、これは感染が起こった各宿主内での優位なウイルス系統を表しているにすぎない。宿主内のウイルス多様性の範囲や、この多様性がどの程度個人間で伝達されるのかについてはあまり分かっていない。新しい宿主において持続可能な伝達を達成できるウイルス変異体の特徴を知るために、季節性H3N2ウイルスが共循環した、2009年のH1N1パンデミックの第一波の際の家族内のドナーとレシピエントの対において、宿主内のウイルスの遺伝的多様性を調べた。同じウイルス変異体がその地域の多数の人に見られたが、ウイルス変異体の相対的な頻度は変動しており、遺伝的多様性のパターンは家族間よりも家族内で類似していた。ドナーとレシピエントの対でのA型インフルエンザウイルスの有効集団サイズが約100~200人であると推定された。これは抗原性変異ウイルスを含む、多数の系統の伝達が可能なサイズである。