Analysis

モノアレル遺伝子発現:遺伝子のモノアレル遺伝子発現はヒトの遺伝学的な多彩さに極めて大きく寄与している

Nature Genetics 48, 3 doi: 10.1038/ng.3493

モノアレル遺伝子発現(MAE)を行うヒト常染色体遺伝子が予想外に多いことが分かってきている。今回、このような遺伝子4,227個について解析したところ、どの集団においても驚くほど高度な遺伝学的多様性を示すことが明らかになった。この多様性の増大が、純化選択の緩和を反映している可能性は低かった。また、意外なことにMAE遺伝子では、組換え率が上昇し、変異が高度に起きやすい配列が強く密集していた。ただし、こうした要素が、多様性の増大を完全に説明するものではない。本研究ではさらに、MAE遺伝子の配列多様性の増大が、当該対立遺伝子の古さにも関連していることが分かった。すなわち、MAE遺伝子に含まれるバリアントは古くからあるものが多い傾向にあり、ネアンデルタール人やチンパンジーと共通した多型を多く含んでいた。MAE遺伝子は、同義変異型、非同義変異型対立遺伝子の集団での平均頻度を上昇させていた。さらに、平衡選択の結果として生じたとされている遺伝子の中では、MAEシグネチャーを持つものが多かった。今回の結果を踏まえて、広く存在するMAEの重要な生物学的機能によって、細胞間の多様性が生じている可能性がある、つまり、MAE遺伝子の遺伝学的多様性の増大が細胞間のばらつきを引き起こしているのだろうと提案する。

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