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クロマチントポロジー:頭索動物の持つ単一の三次元クロマチン区画から予測される脊椎動物Hoxの2領域調節性の段階的進化
Nature Genetics 48, 3 doi: 10.1038/ng.3497
顎口類のHoxAやHoxDの遺伝子クラスターは、2つの部分から構成される三次元クロマチン構造をとることで、Hox領域の前側および後側に隣接する領域からの長距離の調節性入力を分離している。この構造は、脊椎動物のHox遺伝子群による、四肢を含む、体の異なる部分のパターン形成を可能にするのに役立っている。このような三次元トポロジーがどのように生じたのかについてはほとんど解明されていない。本論文では、無脊椎動物の脊索動物である頭索動物(ナメクジウオ類)の胚においてHoxクラスターの大規模な4C(circular chromosome conformation capture)-seq解析によるプロファイリングを行った。ナメクジウオ類のHoxクラスターは、脊椎動物の構造とは対照的に、単一のクロマチン相互作用ドメインから成り立っており、主にその前側領域からの長距離接触があるため、離れたシス調節配列がHox遺伝子群に接触することになることが分かった。2つの領域から調節を受ける脊椎動物のHox系は、Hoxに隣接する前側領域のDNAからの進化的に古い長距離の調節性接触と、後側領域からの新しい調節性入力が組み合わされて、進化的新奇性として生じたと推論する。