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結核:HLAクラスII配列バリアントはヨーロッパ系の集団の結核リスクに影響を及ぼす
Nature Genetics 48, 3 doi: 10.1038/ng.3498
結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の感染により、毎年、新しい結核症例が900万人生じており、死者は150万人に上る。結核のリスクに寄与するバリアントを明らかにするために、2,636人のアイスランド人の全ゲノム塩基配列決定により同定された2,830万個のバリアントと、結核(症例8,162例と対照277,643例)、肺結核(PTB)および結核菌感染の関連について検討した。その結果、白血球抗原(HLA)クラスIIをコードする遺伝子群の存在する領域の3つのバリアントとの関連が明らかになった。1つ目のrs557011[T]〔マイナー対立遺伝子頻度(MAF)=40.2%〕は結核菌感染〔オッズ比(OR)=1.14、P=3.1×10−13〕とPTB(OR=1.25、P=5.8×10−12)に関連し、2つ目のrs9271378[G](MAF=32.5%)はPTB(OR=0.78、P=2.5×10−12)に関連していた。この2つのバリアントはHLA-DQA1とHLA-DRB1の間に位置している。3つ目のHLA-DQA1のp.Ala210Thrをコードするミスセンスバリアント(MAF=19.1%、rs9272785)は結核菌感染(P=9.3×10−9、OR=1.14)と関連していた。これらのバリアントとPTBとの関連は、ロシアおよびクロアチアのヨーロッパ系の人の試料で追試された(P <5.9×10−4)。これらの知見から、HLAクラスII領域が、おそらく防御的な結核菌抗原のT細胞への提示を減少させることで、結核の遺伝学的リスクに寄与することが示された。