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チオプリン耐性:NUDT15の遺伝子多型はチオプリンの代謝と血液毒性に影響する
Nature Genetics 48, 4 doi: 10.1038/ng.3508
抗がん剤および免疫抑制剤として広く使われているチオプリン系薬剤は、しばしば認められる毒性により治療係数が小さい。この毒性は、TPMTの遺伝子多型によることが一部の患者では証明されている。最近の研究によって、生殖細胞系列におけるNUDT15の多様性がチオプリン非耐容の第二の重要な規定因子であることが発見されたが、その基盤になる分子機構やこの薬理遺伝学的な変異の臨床的な意義については明らかになっていない。私たちはグアテマラ、シンガポール、日本で急性リンパ芽球性白血病の臨床試験に参加した270人の小児においてNUDT15の4つのコード変異(p.Arg139Cys、p.Arg139His、p.Val18Ile、p.Val18_Val19insGlyVal)がヌクレオチドジホスファターゼ活性の74.4〜100%の低下をきたすことを発見した。NUDT15の機能欠損型のディプロタイプでは3つのコホート群で一貫してチオプリン非耐容と関連していた(それぞれP=0.021、2.1×10−5、0.0054。メタ解析P=4.45×10−8、対立遺伝子のエフェクトサイズ=−11.5)。NUDT5の生体内での機能はチオプリンの代謝物を不活化し、in vitroでのチオプリンによる細胞毒性を減らすが、変異型NUDT15対立遺伝子を持つ患者では、チオプリンの活性型代謝物が過剰なレベルとなり、毒性を示す。これらの結果より、NUDT15バリアントを含む網羅的な薬理遺伝学的な解析モデルは、チオプリン治療における個別化医療を推進することが示された。