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コレステロール:ハプトグロビン遺伝子HPのエキソン欠失の反復が血中コレステロール濃度の低下に寄与した
Nature Genetics 48, 4 doi: 10.1038/ng.3510
ヒトで初めて同定されたタンパク質多型の1つに、血中タンパク質ハプトグロビンがある。ハプトグロビンをコードするHP遺伝子の2つのエキソンは、HPタンパク質の構造やポリマー形成に影響を及ぼすようなコピー数変化を生じている。このような多型が生じてきた進化的な起源や医学的な重要性についてはこれまで明らかになっていない。本論文ではこれらの多型がおそらく多くの反復欠失から生じたものであり、特に、ヒト科特異的に古代に起こったエキソン重複の復帰変異によるものであることを示す。この多型については、これまでのところゲノムワイドな遺伝学的解析でほとんど検出されていない。そこで今回、SNPハプロタイプから推定(インピュテーション)する方法を開発し、この方法を用いて22,288人を対象に解析したところ、HPのこれらのエキソン欠失がLDLコレステロール値および総コレステロール値の低下と関連していることを見つけた。さらに、これらの欠失と、HPの発現に影響するSNPの1つが、コレステロール値とHP近傍に存在する複数のSNPとの強い関連を生じさせている可能性が明らかになった。つまり、HPにおけるエキソン欠失の反復が、血中コレステロール値を低下させることによって、ヒトの健康を増進させていると考えられる。