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DNAメチル化:脊椎動物のファイロティピック段階でのエンハンサーの活発なDNA脱メチル化
Nature Genetics 48, 4 doi: 10.1038/ng.3522
脊椎動物のボディプランや器官は、ファイロティピック段階と呼ばれる保存された胚発生段階に形成される。しかし、この移行過程のエピゲノムを誘導する機構やその進化的保存の仕組みについては解明されていない。本論文では、ファイロティピック段階ではエンハンサーの広範囲にわたるDNA脱メチル化が起こっていることを、ゼブラフィッシュ、ネッタイツメガエル(Xenopus tropicalis)およびマウスにおいて報告する。これらのエンハンサーは、さまざまな脊椎動物の胚形成過程で、協調した転写変化やエピジェネティックな変化を示す発生遺伝子に関係している。これらの領域では、(ヒドロキシ)メチル化DNAにTetタンパク質が結合していることや、5-ヒドロキシメチルシトシンが豊富に存在することから、この過程では活発にDNA脱メチル化が起こっていると考えられる。さらに、ゼブラフィッシュにおいてTet1、Tet2およびTet3の機能を喪失させると、これらのエンハンサー特異的にクロマチンへの接近可能性が減少し、メチル化レベルが上昇したことから、DNAメチル化がファイロティピック段階のエンハンサー機能の上流調節因子であることが示された。以上のことから、我々の研究は、脊椎動物の胚形成過程の最も保存された段階に関連する調節モジュールを明らかにし、また、Tetジオキシゲナーゼが、進化的に古い時期から発生における役割を担っていることを示唆している。