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基底細胞がん:ゲノム解析により基底細胞がんの新規ドライバー遺伝子と進展経路が明らかになった

Nature Genetics 48, 4 doi: 10.1038/ng.3525

皮膚の基底細胞がん(BCC)はヒトの悪性腫瘍として最も一般的なものである。BCCは主としてソニック・ヘッジホッグ (Hh) 経路により駆動されている。しかし表現型の多型については仕組みが明らかにされていない。293例のBCCについて遺伝学的プロファイリングを行ったところ、がんの中で最大の変異率(1Mbあたり65の変異)を示すことが明らかになった。BCCの85%はHh経路の遺伝子群〔PTCH1(73%)またはSMO(20%、P=6.6×10−8)、およびSUFU(8%)〕、ならびにTP53で61%の変異があった。しかしBCCの85%は、これ以外のがん関連遺伝子についてもさらなるドライバー変異を持っており、MYCN(30%)、PPP6C(15%)、STK19(10%)、LATS1(8%)ERBB2(4%)PIK3CA(2%)、NRAS、またKRASないしHRAS(2%)で変異が頻繁するのが認められた。さらに機能欠失型変異や有害なミスセンス変異がPTPN14(23%)、RB1(8%)、FBXW7(5%)に存在した。また、変異プロファイルと一致して、N-MycおよびHippo-YAP経路の標的遺伝子の発現が上方に制御されていた。MYCNPTPN14LATS1の変異機能解析は、これらがBCC発がんと関係している可能性を示唆していた。

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