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眼疾患:FGD6のミスセンスバリアントはポリープ状脈絡膜血管症のリスクを上昇させる
Nature Genetics 48, 6 doi: 10.1038/ng.3546
ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)は「滲出型の」加齢黄斑変性(AMD)のサブタイプで、アジア人の滲出型AMD患者の最大55%までを占める。脈絡膜血管新生(CNV)サブタイプとは異なり、PCVの遺伝的リスク因子はあまり知られていない。漢族中国人コホート、そして確認のためにこれとは別個の4つのコホートでエキソーム塩基配列決定解析を行い、FGD6のまれなバリアント、c.986A>G (p.Lys329Arg)が、PCVには有意な関連性を示すが〔P=2.19×10−16、オッズ比(OR)=2.12〕、CNVには関連を示さない(P=0.26、OR=1.13)ことを見つけた。FGD6-Arg329の細胞内局在はFGD6-Lys329の場合とは異なっていた。FGD6はin vitro条件下で血管新生促進活性を調節し、FGD6の発現はリン脂質の酸化によって亢進した。FGD6-Arg329では、FGD6-Lys329に比べて、マウスの網膜における血管新生異常がより高い確率で認められた。今回の研究結果は、リン脂質の酸化とFGD6-Arg329が、PCVの発症リスクを相乗的に上昇させるよう作用することを示唆するものである。