エピジェネティクス：シロイヌナズナにおけるH3K27脱メチル酵素REF6とクロマチン再構成ATPアーゼBRMの協調的ゲノムターゲティング

BRAHMA（BRM）などのSWI/SNF型クロマチンリモデリング因子およびH3K27脱メチル酵素は、ともにクロマチンレベルの遺伝子発現の調節で活発に働いているが、それがゲノムの特定部位へどのように動員されるのかはほとんど明らかにされていない。今回我々は、植物に特有のH3K27脱メチル酵素であるRELATIVE OF EARLY FLOWERING 6（REF6）が、ジンクフィンガー（ZnF）ドメインを介してCTCTGYTYモチーフを含むゲノム座位を標的とし、BRMの動員を促進していることを明らかにした。ゲノム規模の解析により、REF6は、CTCTGYTYモチーフを持つ多くのゲノム部位でBRMと共局在することが分かった。REF6が欠失すると、BRMとREF6の同時標的部位ではBRMの存在量が減少した。さらに、REF6はin vitroでCTCTGYTYモチーフに直接結合するが、標的遺伝子からそのモチーフを欠失させると、REF6はin vivoで当該遺伝子に接近することができなくなった。また、ZnFドメインを欠失させると、REF6はゲノムターゲティングの能力を失うことが示された。このように、本研究はH3K27脱メチル酵素の新たなゲノムターゲティング機構を明らかにし、それがBRMクロマチンリモデリング因子の動員で果たす重要な役割を示した。