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脂質:血中脂質や冠動脈疾患でのコレステロールやトリグリセリドの役割に大きな影響を及ぼすバリアント
Nature Genetics 48, 6 doi: 10.1038/ng.3561
血中脂質や冠動脈疾患(CAD)に影響を及ぼす配列バリアントは、脂質分画のアテローム形成についての理解を深めると考えられる。大規模な全ゲノム配列解読データを用いて、最大119,146人のアイスランド人において、non-HDLコレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリドに関連する希少なバリアントと低頻度バリアントについて調べた。大きな効果を持つ13個のバリアント(ANGPTL3、APOB、ABCA1、NR1H3、APOA1、LIPC、CETP、LDLR、APOC1の内部)を見いだし、これまでに報告された14個のバリアントについて確認した。PCSK9、APOA1、ANGPTL4、LDLR内の5個のバリアントがCADに関連していた(症例33,090例および対照236,254例)。脂質分画に対する遺伝学的リスクスコアを用いて、それらとCADとの因果関係を調べた。non-HDLコレステロールの遺伝学的リスクスコアが、CADと最も強く関連し(P=2.7×10−28)、non-HDLコレステロールで説明後には、CADと関連する他の遺伝学的リスクスコアは存在しなかった。non-HDLコレステロールの遺伝学的リスクスコアは、LDLコレステロールのそれよりもCADのリスクに寄与する程度が大きいので(P=5.5×10−8)、アテローム形成性のレムナントコレステロールを標的とすることは心血管リスクを減少させるかもしれないと考えられる。