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子宮内膜がん:ゲノムワイド関連研究により子宮内膜がんの5つのリスク座位を同定
Nature Genetics 48, 6 doi: 10.1038/ng.3562
子宮内膜についての3つのゲノムワイド関連研究(GWAS)のメタ解析、および2つの追試研究を行い、7,737人の子宮内膜がん患者と、37,144人のヨーロッパ系祖先の対照群について調べた。ゲノムワイドの予測解析およびメタ解析により、ゲノム規模で有意である新規リスク座位が5つ見つかった。これらは、染色体の制御領域と考えられる次のような部位に存在する。すなわち13q22.1(rs11841589、KLF5の近傍)、6q22.31(rs13328298、LOC643623内およびHEY2とNCOA7の近傍)、8q24.21(rs4733613、MYCのテロメア側)、15q15.1(rs937213、EIF2AK4の内部でBMFの近傍)、14q32.23(rs2498796、AKT1内、SIVA1近傍)。さらに8q24.21の第二の独立したシグナル(rs17232730)をも見つけた。13q22.1座位の機能解析から、rs9600103(rs11841589とのペアワイズr2=0.98)は、KLF5プロモーター部位と相互作用する活性な染色体領域に存在していた。子宮内膜がんに抵抗性のrs9600103[T]対立遺伝子は、in vitroでの遺伝子発現を抑制することが分かり、子宮の発生に関係する遺伝子であるKLF5の発現制御が腫瘍発生に関与していることが示唆された。これらの知見は子宮内膜がんの遺伝的、生物学的基盤の解明を大きく進めるものである。