Analysis

がんタンパク質:タンパク質構造から判明した、19種類のがんの機能性変異

Nature Genetics 48, 8 doi: 10.1038/ng.3586

ヒトのがんにおいては、局所的に変異が集中して存在していることはよく知られている。しかし、コードしているタンパク質における各変異の三次元的配置との関係性については、これまで系統的に調べられたことはなかった。今回、計算ツールHotSpot3Dを開発し、そのような空間的ホットスポット(クラスター)の特定、そして、クラスター内バリアントがどのような機能を持つかの解釈を試みた。19種類のがんを含む4,400以上のTCGA腫瘍についてHotSpot3Dを適用したところ、6,000を超える分子内および分子間クラスターが見つかった。このようなクラスターの一部は腫瘍特異性と組織特異性の両方、またはいずれか一方を示すことが分かった。さらに、369の希少変異をTP53PTENVHLEGFRFBXW7をはじめとする遺伝子に、中等度の頻度で出現する99の変異をRUNX1MTORCA3PI3PTPN11などの遺伝子に同定したが、これらは、クラスター内に位置決定された機能に影響を与える可能性のある変異である。また概念実証として、ハイスループットのリン酸化データや、細胞株を用いた実験的評価を利用して、EGFRに対する予測結果の検証を行った。また、変異–薬剤クラスターおよびネットワーク分析を行い、創薬標的候補として有望な変異を800以上予測した。この結果は、特異的な変異を持つ患者の個別化治療をデザインするという、新たな可能性が期待できることを提案するものである。

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