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ゲノムワイド関連解析:非近交系マウスの複数の複雑形質について、超低カバー率塩基配列決定により行うゲノムワイド関連解析
Nature Genetics 48, 8 doi: 10.1038/ng.3595
齧歯類の複雑形質の遺伝学的解析を難しくしている2つのボトルネックとは、遺伝子レベルのマッピング解析精度に耐えうる対象集団があるかということと、集団特異的な遺伝子型決定用アレイおよびハプロタイプ参照パネルが必要であることである。本研究では、市販の非近交系マウス1,887匹を用いて、低カバー率(0.15倍)塩基配列決定と、祖先のハプロタイプの場所を推定する新しいコンピューター解析手法を組み合わせて用いた。92の形質に関する156のユニークな量的形質座位(QTL)を、5%偽検出率(FDR)のレベルで位置決定した。これら座位の5分の1について、遺伝子レベルの解像度でのマッピングを達成し、Unc13cとPgc1aが睡眠の質の座位に、Adarb2がホームケージ行動の座位、Rtkn2が驚愕に対する反応の強さに関連する座位、Bmp2が創傷治癒の座位、Il15とId2がT細胞測定値のいくつかの座位、Prkcaが骨ミネラル量の座位に位置することが明らかになった。これらの知見は哺乳類生物学の多様な分野において有意義であり、高い率で組換えが起こっている非近交系集団の種に対して低カバー率塩基配列決定を行うことにより、ゲノムワイド関連解析を拡張できることを証明した。