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トマト:開花遺伝子SELF PRUNING 5Gの変化がトマトの中日性と早生性を促進する
Nature Genetics 49, 1 doi: 10.1038/ng.3733
植物は、季節的な日長の変化によって開花が引き起こされるように進化した。しかし、作物の日長感受性は地理的栽培範囲の制約となるため、栽培化には光周期応答の修正が極めて重要であった。今回我々は、トマトの日長感受性開花の消失が、フロリゲンのパラログである開花抑制因子SELF PRUNING 5G(SP5G)によるものであることを明らかにした。野生種を長日条件におくとSP5Gの発現が高レベルに誘導されるが、栽培トマトではシス調節性の変化のためにそれが起こらない。圃場のトマトは、CRISPR/Cas9でSP5Gに変異を加えると、迅速な開花が生じて、小型の有限成長を示す性質が強化されることにより、早生につながる迅速で爆発的な花成が生じた。今回の知見は、SP5Gにもともと存在していた多様性が南米の赤道付近の原産地からの栽培トマトの広がりを促進したことを示唆するとともに、作物育種で収量形質を迅速に改良する遺伝子編集の威力を強力に実証した。