Technical Report
遺伝子型決定:Graphtyperはパンゲノムグラフを用いた集団スケールの遺伝子型決定を可能にする
Nature Genetics 49, 11 doi: 10.1038/ng.3964
遺伝学研究の基本的な要件として、配列のバリエーションを正確に知る必要がある。ヒトゲノム配列の多様性は次々に詳細が明らかになっているが、配列解析においてこの知見を効率的に用いる方法が必要となっている。今回、我々は配列バリアントを発見し遺伝子型決定を行う一般に利用可能な新規のアルゴリズムとソフトウェアであるGraphtyperを紹介する。Graphtyperはショートリードの配列データをパンゲノムに貼り付けて整列させる。このとき、可能性のあるハプロタイプをグラフ構造として表現することにより、集団内のバリアントをコードする配列を意識したグラフ構造を得ることがきる。我々の結果から、Graphtyperが高速で、高い拡張性があり、高感度で正確な遺伝子型のコールを提供できることが分かった。Graphtyperは、アイスランド人2万8075人の全ゲノムに含まれる8940万の配列バリアントを10万日未満のCPU時間で遺伝子型決定した。これには、6つのヒト白血球抗原(HLA)遺伝子の詳細な遺伝子型決定も含まれている。Graphtyperが、小規模および集団スケールの両方における配列解析で配列バリアントを明らかにするのに有用なツールであることを示すことができた。