Analysis

遺伝子発現:複雑な形質と疾患の原因となる組織の推定

Nature Genetics 49, 12 doi: 10.1038/ng.3981

ゲノムワイド関連解析研究(GWAS)によって同定された疾患の素因となるマーカーについて、それらの基礎にある生物学的な原因をどのように解釈するかという問題は、未解決のまま残されている。GWASの背後にある遺伝的な因果関係を評価する1つの直接的で有効な手段は、発現量的形質座位(eQTL)の解析を利用することである。そこで我々は、さまざまなGWAS形質の遺伝的因果関係の背後にある組織を推定するための新しいアプローチについて記述する。この手法は、GTEx(Genotype-Tissue Expression)コンソーシアムによる44組織のcis-eQTLを用いるものである。調節形質コンコーダンス(RTC)スコアを適用し、複数の組織で活性化しているeQTLの確率を測定した。そして、GWAS関連バリアントとeQTLが同じ作用効果に識別される確率を計算した。組織を共有するeQTLを推定する値を用いて、GWAS-eQTLの確率を正規化することにより、GWAS形質の組織-因果関係プロファイルを生成した。我々のアプローチは、個々のGWASシグナルを仲介すると考えられる遺伝子の関与を見つけるだけでなく、個々の形質について、遺伝的な因果関係が現れる組織を見つけだす上で役に立つものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度