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原発性硬化性胆管炎:原発性硬化性胆管炎のゲノムワイド関連研究を行い、新たなリスク座位を同定し、炎症性腸疾患との遺伝的類似性を数値化した
Nature Genetics 49, 2 doi: 10.1038/ng.3745
原発性硬化性胆管炎(PSC)は胆管狭窄を生じる稀な進行性の疾患であり、PSC患者のおよそ75%は合併症として炎症性腸疾患(IBD)を発症している。今回、PSCについての最大規模のゲノムワイド関連解析(患者4,796人および対照集団19,955人)を行い、ゲノムワイドな有意性を示す、4つの新たな座位を同定した。ある座位で最も強く関連を示すSNPは、UBASH3Aのスプライシングや発現に影響を及ぼすことが分かり、“防御効果”のある対立遺伝子(C)がUBASH3AのノンストップmRNA分解や低発現を引き起こすと予測される。高頻度バリアントについてさらに解析を進めたところ、PSCと潰瘍性大腸炎(UC)とのゲノムワイド相関(rG)のほうが(rG=0.29)、PSCとクローン病とのそれ(rG=0.04)をはるかに上回ることが示された(P=2.55×10−15)。UCとCDは遺伝的に類似しており(rG=0.56)、それは、それぞれのPSCとの類似性よりも高かった(P < 1.0 × 10−15)。今回の研究成果は、PSCの遺伝基盤を解明する上で大きな進展をもたらすものである。