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睡眠:睡眠障害形質についてのゲノムワイド関連解析から新規座位が同定され、神経精神医学的形質および代謝形質に共有される遺伝学が明らかになる
Nature Genetics 49, 2 doi: 10.1038/ng.3749
慢性の睡眠障害は、心血管代謝疾患、精神障害、全死因死亡に関連があり、世界の成人の25~30%が罹患している。自己申告による習慣的な睡眠時間と睡眠の中断には環境要因が大きく影響するが、睡眠のうちの遺伝性の形質に関わる遺伝子を同定できれば、睡眠の理解や、睡眠を疾患に結び付ける機構、新しい治療法の開発が進むと考えられる。本論文では、UK Biobank(n=112,586)の自己申告による睡眠時間、不眠症状、日中の過剰な眠気についての、単一形質および多形質のゲノムワイド関連解析を行ったことを報告する。不眠症状(女性ではMEIS1近傍、TMEM132E、CYCL1、TGFBI、男性ではWDR27)、日中の過剰な眠気(AR–OPHN1近傍)、および複合睡眠形質〔PATJ(INADL)近傍およびHCRTR2〕に関連する座位が明らかになり、また、睡眠時間に関連する1座位(PAX8)の再現性が確認された。また、長い睡眠時間と統合失調症リスクの間の遺伝的相関(rg=0.29、P=1.90 × 10−13)、および日中の過剰な眠気の増強と肥満形質の測定値の上昇の間の遺伝的相関〔ボディマス指数(BMI)がrg=0.20、P=3.12 × 10−9、腹囲がrg=0.20、P=2.12 × 10−7〕も観察された。