Technical Report
遺伝的異質性:表現型で定義された疾患サブグループ内に見られる遺伝的異質性を同定する方法
Nature Genetics 49, 2 doi: 10.1038/ng.3751
一般的な疾患の多くは表現型のバリエーションが大きい。我々は、表現型で定義された疾患症例のサブグループが、異なる遺伝的構造を持つ2つのサブグループであるかどうかを決定する統計的手法を紹介する。異なる遺伝的構造を持つサブグループでは、疾患関連バリアントの効果量が異なっている。我々の手法は、混合ガウスモデルを用いて、遺伝的関連に関する統計をゲノムワイドな分布としてモデル化するものである。この方法では、疾患関連バリアントを明示的に同定することなく、包括的な検定を行う方法を採用した。その結果、各バリアントを比較する標準的なサブグループの解析法と比べて、検出力を大幅に上げることができた。サブグループとする遺伝的な証拠がどこにあるかが見つかっていれば、遺伝的バリアントへの寄与の事後の同定のための方法となる。さまざまなシミュレーションやテストデータのセットに対してこの手法を実施し、既知の結果と一致する予測結果を導けることを実証した。さらに、自己抗体陽性の1型糖尿病(T1D)の患者サブグループについて本手法を適用し、甲状腺ペロキシダーゼ特異的抗体への陽性(既知の1型糖尿病関連ゲノム領域のバリアントによって通常引き起こされる)を基準にした遺伝的構造の違いを明らかにした。